サックスを始めた頃の話(前編)
学生の頃は楽器やってなくて、おっさんになってから始めたと言うと
「始めたきっかけは何だったか」というような事をよく訊かれる。
それでちょっと振り返ってみようと思う。
当時の僕はボクシングもやらなくなって、仕事だけの毎日になっていた。
忙しかったけど「退屈だなあ」といつも感じていた。
ボクシングの代わりに、何か目標を持って頑張れるものが欲しかったんだと思う。
20代も後半に差し掛かろうとしていた頃だ。
そんな中、現在住んでいるいなか町に
ジャズビッグバンドがあるという事を何かで知った。
昔から音楽を聴くのはなんでも好きだったので、見学に行く事にした。
練習場所は公民館みたいなとこだったかな?
行ってみると4~5人しかいなくて、
サックス2・トランペット1・ドラム1みたいな感じだったと思う。
自己紹介もそこそこに、いきなり「近々コンサートやるから出ましょう」と言われた。
楽器は何も出来ないと答えたのだが、「パ-カッションやれば?」と言われて
次の月ぐらいに出た。
近隣の町の楽器経験者とか、メンバーの友人の寄せ集めで
10人くらいの編成だったと思う。
ギター・ベース・キーボード・ドラムはいたが、管楽器は3~4人。
やった曲と言えば、演歌だとか童謡だとか古いアニメソング。
とてもジャズビッグバンドと呼べるようなものではなく、
小学生の器楽演奏会みたいだった。
僕はタンバリンとかトライアングルを叩いてた。
それはそれで面白かったけど。
そのバンドに出入りしていた高校教師の男性がある日、
「何かやりたい楽器あったら貸すよ」と言ってくれた。
学校に吹奏楽部を作りたくて楽器集めたものの
結局叶わず、持て余しているという事だった。
昔から、TVなどで流れてくるサックスの音がとても好きだった。
それでアルトサックスを借りた。ヤマハの一番安いモデルだった。(続く)