サックスを始めた頃の話(後編)
自分がやってみると、全然カッコいい音がしなかった。
最初からTVで流れてたようなカッコいい音が出ると思っていたのに。
仕事は毎日忙しく出張ばかりだったので、
楽器を始めても結局一年ぐらいは放置してしまった。
でもある日、「せっかく貸してくれたんだから、ちゃんとやろう!」
と思い立ち、再び練習を始めた。
でも、何をどうやったらいいか分からない。
完全に自己流で、当時所属していたビッグバンドの厳しい奴からは
いつもボロクソに言われてた。教えてくれる人もいなかった。
自分でもこりゃあいかんなと思い、レッスンを申し込んで
ある程度楽器に慣れるまでは通い続けた。
そこから少しずつ変わっていったと思う。
ビッグバンドには5年ほど居たが、他にもいろいろ誘われるようになって
辞める事にした。
いつもボロクソ言われてた奴に一晩中説得されたが、
「俺の自由だ」と言って譲らなかった。
今考えると、そいつとも他のメンバーとも仲良く楽しくやっていたし
悪かったかなとも思うけど、
「君はこんな狭い世界でやって行くより、いろんなとこでやった方がいい」と
言ってくれた人もいた。
いろいろ経験出来たし、今もそれは続いているので
自分もそれで良かったと思う。
後悔は全くしていない。