EGO'S BLOG

We live only once.

LIFE

振り返ってばかりでもいけないが、忘れられない想い出があり、

それが自分を成長させてくれている事もある。

長期に渡る入院で、たくさんいた友人たちも見舞いに来なくなり、
今では身寄りもいない彼女の事を覚えている人も少ないだろう。
だからせめて僕だけは、時々でもいいから思い出してあげたいと思う。
 
もうすぐ彼女の命日だ。
彼女とは婚約していたが、20代の頃に死別した。
 
僕とは正反対で、人なつっこくて明るくて面白い子だった。
なぜ僕の事を好きになってくれたんだろう?と、今でも思う。
一緒にいる時は、いつも笑い合っていた。
入院中も彼女が病気である事や、末期である事も忘れそうな時さえあった。
 
いつの頃からか、全く食事が出来なくなった。
痛みも治まらなくなり、効果が強い薬を使うようになったが、
副作用で幻覚や幻聴が始まった。
そのうち体の自由も利かなくなり、寝たきりの状態になった。

そんなある日、いつものように会いに行き、
僕は自分のアパートに帰ってきたばかりだった。
でも数分後、なぜか急に胸騒ぎがして、またすぐに病院に向かった。
それから一時間後に、彼女は亡くなった。
病状が進んでいたからなのか、薬の中毒症状だったのかは分からないが、
突然呼吸が止まってしまったのだ。
 
僕は運命とかオカルトとかは信じない方だが、
こういう経験をすると、人との縁ってのはあるのかなと思う。
少なくとも、彼女とは強い縁があったのだろう。
 
覚悟はしていたし、別れの言葉も掛けたが、あまり現実感が無かった。
たぶん、信じたくなかったのだろう。
その後はずっとそばにいる事が出来たが、
通夜になってお経の声を聞いた時に初めて
「ああ、彼女は本当に死んだんだ。」と思い、
涙が止まらなかったのを覚えている。

その後、彼女が残したスケッチブックを見せてもらった。
いろんなイラストと一緒に、家族や友人や僕の名前が書いてあり、
「みんなが幸せでありますように!」と書いてあった。
クリスマスに手紙ももらったが、彼女はそういう子だ。
病気で苦しんでいても、自分の事より、周りの人達の幸せを願うような子なんだ。
 
僕は今でも自分の事だけで精一杯だけど、
いつかは君みたいな人になりたいと思うよ。
一緒に泣いた日も、辛かった事もたくさんあったけれど、
今ではほとんど楽しかった事しか思い出さない。
 
あいかわらず人生は面倒な事も多いけど、
それでも生きてて良かったと思うよ。
だから君の分まで幸せになる為に、僕はこれからも生きていく。

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